1か月間190名規模の新入社員研修をオンラインで実施してみてのまとめ

2020年の新入社員研修はどのように実施されましたでしょうか。

3月に入りいよいよWHOからパンデミック宣言がやっとあり、中国はじめ、アメリカ、ヨーロッパで新規感染者数が拡大し、日本においてもいつ緊急事態宣言が出るのか、大変な混乱でした。

人事担当者の皆さんとしては、4月から計画をしていた新入社員研修をどのように実施すればいいのか、判断が非常に難しい局面を強いられていたことでしょう。

計画していた研修を抜本的に見直す期間がないことから、強制的にオンラインでの研修に切り替え、内容は計画していたものを踏襲しながら実施した会社も多かったのではないでしょうか。

弊社では協力会社との連携で総勢190名の新入社員を35名を1クラスとして5クラスをオンラインで約14日間研修を実施をしました。

実施してみてのオンラインならではのメリット、デメリットをまとめましたので、今後の教育プランの参考にしてみてください。

オンライン研修でのメリット


オンライン研修のメリットをお伝えするにあたり、すでに有意義にまとめていただいているテキストがありますので、みなさんにも共有したいと思います。ラーンウェル代表関根雅泰さんが、「オンライン学習におけるエビデンスベースの実践評価」について要約し、まとめてくれています。これはとても参考になります。

オンラインの学習効果

http://learn-well.com/blogsekine/2020/04/_200420.html#more

要約には、

”学習結果を見ると、平均的に見て、オンライン学習者のほうが、対面指導を受けた者より、良いパフォーマンスをあげている。”

という結果が挙げられていました。

また、”オンライン学習のみ、対面指導のみよりも、その2つを組み合わせた指導のほうが、より高い効果を発揮していた”

という結果もでていました。

これまでの研修の見直すポイントの示唆を与えてくれていると思いますし、今、オンライン学習に切り替えようとしている皆さんには参考になるデータです。

それでは、実際にオンライン研修をやってみての所感を5つ挙げてみます。

  1. 1.意欲高く教育機会に臨める方の学習効果は高い
  2. 2.効率的に、ワークを進めることができる
  3. 3.他者の発言を全体で集中して聞く体制ができる
  4. 4.オンラインツール内の画面共有機能やアクセサリ類を利用することにより、効果的にグループディスカッションを行える
  5. 5.画面をオンにして実施することによる集中を維持した研修を実施できる

他の講師とも話をしましたが、当初はオンラインで集合研修で計画していたコンテンツを実施できるか?!?といった状態からのスタートでしたが、終わってみて、やり切れたといった感想です。

ただ、人事担当者の運用上の気苦労や、バックヤードでネットワーク環境などを整備、対応を行ってきた方々の苦労は本当に大変なものだったと思います。

オンライン研修でのデメリット


一方、オンライン研修のデメリットは、集合型研修との比較でとらえてみました。

まずは、実践してみて率直に感じたことは

1.身体的経験を伴わない学習になることから定着にばらつきあがる

2.集合型研修と比較し、参加者同士で刺激し合いながらの教育効果を上げることが難しい

3.集まることによる連帯感の醸成などが構築しづらい

4.講師側、受講者側、それぞれに言えることであるが、発言時に的を絞って効果的に話すことを求められるので、コミュニケーション力が問われる

5.パソコン端末などと8時間向き合ることによる身体的なストレスを抱えやすい

①身体的経験を伴わない学習になることから定着にばらつきあがる

ひとつの例としては、オンラインでの言語学習と留学することによる言語学習の違いがいい例です。

留学し”場”の空気、匂い、人との交流(雰囲気)、視覚、聴覚を含めての学習と、オンライン学習の同じ空間(自宅などの日常的な空間)での学習の違いを想定してみてください。

もちろん、人によっては、一時的にオンライン学習が脳への定着がしやすいという方もいるかもしれませんが、長期的な学習効果を考えると、モチベーション含めてしんどいのではないでしょうか。

詳しくは調べきれていませんが、脳への定着部分がオンラインとオフラインでは異なることなども言及されていますので、そのあたりもこれからのテーマになってくるのでしょう。

②集合型研修と比較し、参加者同士で刺激し合いながらの教育効果を上げることが難しい

集合型研修では、クラス内での参加者同士のアウトプットを共有することや、当然ながら膝を突き合わせてのグループディスカッションを行えます。

一方、オンラインツールでもミーティングルーム機能などを使いながら、グループディスカッションを行えますが、やはり誰がどのタイミングで話をするのか探り探りでいまいち、テンポよく話をすることができません。

また、空間を共有していないことから、踏み込んだ議論ができないなどもあるようです。

3.集まることによる連帯感の醸成などが構築しづらい

新入社員研修を実施する狙いのひとつに、同期のネットワーク形成があります。

この期間には、これから始まる社会人としてのフレッシュな思いや不安な思いを共有します。学生と社会人の狭間を共に過ごすことにより、配属後に直面する悩みなど打ち明けることができる仲間になるわけです。

今年はオンライン飲み会などで交流を深めているようですが、当然ながら居酒屋で深める絆とは異なるようです。

4.講師側、受講者側、それぞれに言えることであるが、発言時に的を絞って効果的に話すことを求められるので、コミュニケーション力が問われる

オンラインという空間では、聞き手は話し手の言葉に集中して聞き入ります。日常のコミュニケーション時は他の雑音などが入ってくるなかで、その雑音を排除しながら理解を進めますが、オンラインでのコミュニケーションは、相手の言葉に注意を傾けて理解します。面前でのコミュニケーションでは適当に無駄な言葉を排除しながら理解を進めていたものが、オンライン上では一つ一つの言葉に意識を集中して聞きますので、無駄な言葉などが入る混乱が深まります。「ちょっと待ってください」と話を遮るのもオンラインではしづらい環境がありますので、効率的、効果的に話をすることが求められます。

5.パソコン端末などと8時間向き合ることによる身体的なストレスを抱えやすい

これは皆さん容易に想像つくことかもしれませんね。新入社員が抱えていたストレスを聞いてみると

・疲れているのに寝ることができない。

・オンライン上での人間関係に疲れて言葉を発するのがおっくうになってくる

・なぜか、いつも眠たい 等々

身体的なストレスではありませんが、ストレス状況を聞いてみると3割くらいの方々、ストレスフルな状態で研修に受講していたようです。私生活と仕事をする空間がほぼ変わらない中で、リフレッシュ、切り替えができないことから、ずっと仕事のことが頭から離れないなどの悩みをお持ちの方もいらっしゃいました。

まとめ


メリットにも記載しましたが、思っていたよりも集合研修で行ってきた教育機会は、オンラインでやれるじゃん!となってきていると思います。

実際、コロナウィルスの脅威はまだ完全に去ったわけではありませんので、もともと保守的な施策が多いような企業では、一気にオンライン教育に舵を切る企業があるかもしれません。

新しい働き方を模索するには、確かに有効的な施策に移行していくべきでしょう。

ただここで考慮に入れて頂きたいのが、果たしてその教育施策が、あなたの会社の経営戦略にのっとった教育戦略になっているかということです。

オンライン、集合研修、eラーニング、体験型(フィールドワーク)等、様々な教育施策があります。

人材のダイバーシティを推し進め、最高の教育効果を生む教育施策の組み合わせをぜひ、このタイミングで構築することを目指してください!