地域活性化の取組みの事例紹介_地域の誇り・自信を次世代につなげる(2016)
地域の誇り・自信を次世代につなげる ”西庄フェスタ2016”
東みよし町は、徳島県の西北部、四国のほぼ中央部に位置し、北は香川県、東はつるぎ町、西・南は三好市と接しています。この地域は、西から東へと流れる吉野川を挟み三三大橋でつながり、北に阿讃山脈、南に四国山地と急峻な山々に囲まれ、豊かな水と緑に恵まれた地域となっています。他の地域では見ることができない山あいに、木々の緑は大変深く、澄んだ空気は、体も心もリフレッシュしてくれます。
徳島県東みよし町とは、2016年、年間を通してともに活動をしていただきました。世界農業遺産の認定を目指しているタイミングに、学生たちと地域の方々との文化交流や非常に特異な傾斜地農法を体験型企業研修と受けさせていただきながら、地域を適切に情報発信する活動を目指し活動しました。
それぞれの世界で活躍を目指すデザインの専門学校との取り組み
今回の取り組みは、大阪の専門学校、OCA大阪デザイン&IT専門学校の学生11名と行わせていただきました。http://www.oca.ac.jp/
デザインに特化した専門学校の学生です。デザインというと、何かデザインソフトを使ってロゴやホームページを作るスキルを身に着けられれば社会で活躍できると思いがちですが、+アルファの能力形成も重要だと考えています。すでにたくさんの方が主張していらっしゃいますが、これからのデザインは、成果物として表出されるモノだけではなく、何を見て、何を感じ、どのようなものを制作したのかという内面に関わる要素が非常に大きくなってくる時代です。学生たちが、徳島県の東みよし町で学び、人間的な成長を遂げ、どのような制作物を創ってくれるのか、当初から楽しみでした。
地域の関係者の皆様や役場の皆様と調整を図っていただいた(社)そらの郷の皆様に置かれましては、大変な気苦労がおありになったことと思います。このような新しい取り組みにチャレンジいただいたことに、今でも本当に感謝がつきません。
3つの活動フェーズ
年間の通しての活動になりましたが、3つフェーズに分けて活動を行いました。
- フェーズ1 地域と向かい合う
特異な文化や歴史をしっかりと現地で体感し、理解する。今回は、傾斜地での農業体験や民泊、地域の皆さんからのお話などで勉強をさせて頂きました。
農業体験のメインに据えて活動をさせて頂いたのは、蕎麦の農業体験です。お米の稲などのように垂直に伸びる植物だと勝手に想像していたのですが、想像とは全く異なり、畑をはうように成長する植物とは知りませんでした。中腰での刈取り作業は、半日でも腰が痛くなく重労働。たかだか半日くらいの作業でやった気になりますが、これを毎日行うことを思うと、本当にお蕎麦のありがたみが増します。比較的、短期間に種まきから刈取りの期間が短く、蕎麦の種まき、刈取り、乾燥、脱穀、そして、蕎麦作りのすべての工程に関わらせていただくことができました。もちろん、私たちが地域に行けない時期は、地域の皆さまが面倒をみてくれていたことは言うまでもありません。
- フェーズ1 地域と向かい合う
- フェーズ2 地域の皆様と地域の理想を描く
地域の皆さんの意識から薄れつつある地域の特徴と、地域の皆さんがこの地域をどのようにしていきたいかという理想を、膝を付け合わせながら沢山の時間を費やしてディスカッションし形作っていきます。
この時間は大切です。私たちは、自分たちの価値観で、勝手に良かれと思うことを地域の皆さんに押し付けてしまうようなことがあります。地域の皆さんが、願っていることを聞かせていただきながら、地域の未来について本気で考える。学生が新しい価値観に触れられる貴重な時間でもあります。
- フェーズ3 地域を創る
地域の皆さんの思いを中心に、地域のありのままを、適切に情報を発信していきます。
私たちの活動の基本コンセプトは①地域の方々の誇り・自信を次世代につなげる②地域が続くための経済活動の活性化 という地域内部に向けたメッセージと、地域外部に向けたメッセージの両面を考慮し活動を行います。目立てばなんでもいいという考え方があるかもしれませんが、自虐的なおもしろ動画をみて、心を痛めるご高齢者もいらっしゃいます。
私たちは、地域の皆さんが自分たちの地域に自信と誇りにつながる活動を行い、地域の内から活力が沸き上がる活動にしていきたいと思っています。
地域を創る成果物
今回私たちは、3つの制作物をつくらせていただきました。
1.PR動画
2.シンボルマークとなる看板
3.地域の発展を目指したプレゼンテーション企画
西庄フェスタでは、なんとも言えない昔ながらの小学校の体育館でのイベントでした。
地域の皆さんと今年採れた蕎麦を食べて、子供たちもゲームを楽しみ大盛況のイベントでした。私たちは少しの時間をいただきまして、①PR動画③地域の発展を目指したプレゼンテーション企画の発表をさせて頂きました。
※動画などは、また、どこかのタイミングで公開させていただきます。
地域の皆様の声
地域のみなさんの笑顔をみてください。
これがやってよかったと思える瞬間です。
地域の役場の方からも、嬉しいお言葉をいただきました。
毎年恒例、東みよし町の山間集落活性化交流イベント「西庄フェスタ」。
今年の目玉は、『大阪コミュニケーションアート専門学校』の学生達による、西庄集落を未来に繋ぐ!本気のプレゼンテーション。また、8月より学生達が西庄良所会(集落住民)と、一から「農」と向かい合い協働することで、一つの「食」にたどり着いた地元産『新そば』の試食会なども行われました。
“急傾斜で育つ真っ直ぐな人”“都会人に告ぐ”…など、まさに我々の魂を揺さぶる表現をもってご提案をいただきました。
目に見えないモノ、活字にできないモノを多くの人に届けるためにカタチにする。彼らが将来、世界に羽ばたくための力。コミュニケーションアートの真髄を見ました。
ノスタルジックな山間の小学校休校舎周辺で開催される恒例の西庄フェスタ。この瞬間は、毎年大勢の笑顔と笑い声で、昔を彷彿とさせる活気に溢れます。感動の共感。涙ぐみ握手を交わし、お別れが時を戻す。持続可能な山間集落文化を担うコンソーシアムのような協働…一歩前に進めたような気がします。
まとめ
この度の活動は、私たちとしてはスタートだと思っています。
①地域の方々の誇り・自信を次世代につなげる
②地域が続くための経済活動の活性化
学生たちは、今年、社会人として社会にはばたきます。
すべての時間を今回学ばさせて頂いた東みよし町発展に費やすことはできません。
ただ、すべての時間でなくとも、何かのタイミングで東みよし町の地域のこと、地域のみなさん、西庄良所会のみなさんことを思い出して活動してくれれば、学生の彼らが導いたキーワード、「距離は遠いけど気持ちは近い暖かさ」を実現してくれることでしょう。
東みよし町の皆さま、本当にありがとうございます。
このような活動をたくさんの地域で広げていきたいと思います。