【コラム】SDGsと人事・人材育成(BIPROGY(旧日本ユニシス)編)-人的資本を軸にした資本の好循環サイクル
SDGs and HR/Human Resource Development biprogy version
-virtuous cycle of capital based on human capital
BIPROGY株式会社
BIPROGYは、システム開発や運用などを請け負う会社です。2022年4月に従来の「日本ユニシス」から「BIPROGY」に社名変更しました。
ダイバーシティ(多様性)やインクルージョン(包括)はSDGsの中でも重要視されている概念です。違いを認め合うことで、個人の能力が発揮されやすくなります。企業がこぞってSDGsに取り組む昨今、異彩を放つBIPROGYの取り組みは高い評価を得ています。なぜ、そのようになったのでしょうか。最大のポイントは、ダイバーシティを目標の一つではなく経営の手法にしていることです。
同社のダイバーシティへの取り組みは、2012年にさかのぼります。きっかけは、従来のビジネスモデルの限界でした。当時の考え方は、顧客のニーズが最優先でした。希望に合ったシステムを、一定の納期内で作り上げるというものです。そのようなスタイルでの成長が見込めなくなったとき、ダイバーシティが新しい軸でした。社会課題を解決するためのシステムを、みずから提案し販売する方向性を模索します。常にアンテナを張り、新規事業をつくり出すエンジンとして、個人の多様性を伸ばす人材育成を目指したのです。
ここでいう「多様性」は「いろいろな人が集まる」という意味だけではありません。BIPROGYの特徴は、個々人が持つ多様な可能性に対する人事評価です。ダイバーシティ推進室 室長の宮森未来氏は、次のように述べています。
日本ユニシス株式会社 組織開発部 ダイバーシティ推進室 室長 兼 CEOアシスタント
宮森 未来さん
ダイバーシティというと、性別、国籍、年齢、障がいの有無といった「属性」による多様性で論じられることが多いと思います。属性によって不当な扱いを受けないことはとても重要なことですが、属性の前に、一人ひとりが多様であることを理解してほしい。同じ女性という属性でも、価値観や環境は人それぞれです。(日本ユニシスの「目標値なし」「男女問わず」の育児休暇推進とは | 『日本の人事部』
https://jinjibu.jp/article/detl/tonari/2145/1/ より引用)
ひとりの人間にはいろいろな面があり、それがスキルセットを形づくります。ライフイベントによって役割が変化し、新たな面を見出すこともあるでしょう。望む人材像として、このような表現がありました。
必要なスキルセットを細かく定義すると、多様性が失われてしまいます。現在、社員に盛んに呼びかけているの は「ROLES」、つまり役割(ROLE)を複数持った人財になってほしいということです。イノベーションのためにも多様性を持つことが大切だと言われますが、自分の中に多様性がなければ、人の多様性はなかなかリスペクトできません。自分の中の多様性 を「イントラパーソナル・ダイバーシティ」とも言いますが、自分自身にまず多様性を創ることで、ほかのさまざまな多様性を持っている人を尊敬したり、より多くの多様性を欲しいと思ったりできるようになります。(日本ユニシスグループ サスティナビリティレポート2021
https://www.biprogy.com/pdf/sustainability/sustainability_rpt2021_all.pdf より引用)
令和2年度 新・ダイバーシティ経営企業 100選プライム
先んじてダイバーシティ経営に取り組んだことが評価され、2021年に経済産業省の「新・ダイバーシティ経営企業 100選プライム」の選定企業となりました。
ベストプラクティス集
https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/kigyo100sen/r2besupura.pdf
ダイバーシティに取り組む期間で、売上高が伸びたことが示されています。
このアイデアを生み出したのは、当社の女性社員たちです。当社は、前中期経営計画期間から引き続き、エンジニアに「週に連続3時間は担当業務以外のための時間を確保する」というルールを定めていますが、そうした環境を最大限に利用して、社会貢献したい消費者と、資金を集めたい団体をマッチングさせ、メーカーと小売店を巻き込んだマーケティングの手法を社員たちが考えて呼びかけていった結果、生まれたものです。(トップメッセージ | BIPROGYグループのサステナビリティ | サステナビリティ【BIPROGY】
https://biprogy.disclosure.site/ja/themes/91より引用)
若手社員のインタビューでは、社会課題の解決と収益の向上をより強く結びつけていこうという方向性が語られています。
小売業やメーカーの多くから、「BE+CAUS」のコンセプトには共感いただいています。一方で、この取り組みは社会課題解決と同時に、事業としてきちんとマネタイズできる仕組みを両立させなければいけません。賛同企業を増やすということは、「BE+CAUS」での活動に参加することで結果的に自社の収益向上につながるということに納得していただく必要がありますので、そうした点はまだまだ頑張っていかなければならないと思っています。(SDGsへの取り組みや、社会貢献をもっと身近に。BIPROGY(旧:日本ユニシス)の描く新しい社会貢献型ビジネス | 20代の働き方研究所 produced by Re就活
https://lab.re-katsu.jp/special/detail/id=589 より引用)
変化を恐れず前進することで、社会に寄与し続けることが可能になる一例といえるでしょう。