【コラム】SDGsと人事・人材育成(ブラザー工業編)-人的資本を軸にした資本の好循環サイクル

 

SDGs and HR/Human Resource Development Brother version
-virtuous cycle of capital based on human capital

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ラザー工業は、愛知県名古屋市に本社を置く会社です。海外展開が強く、欧米では複合機のシェア40パーセントを占めています。地域別売上収益構成比を見ると、85パーセントが海外顧客です。ミシンの修理業から始まり、高い技術力と広いネットワークを生かしてバラエティ豊かな商品とサービスを展開しつづけています。家庭用ミシンやオフィス用レーザープリンターで知られていますが、通信カラオケのJOYSOUNDもブラザー工業の商品です。顧客の困りごとを素早くキャッチし、解決手段を素早く提示することを得意としています。

https://global.brother/ja

 

「At your side 2030」

2021年、ブラザー工業は2022年度から2030年度のビジョン「At your side 2030」を策定しました。

At your side.|ブラザーブランドストーリー|ブラザー

https://global.brother/ja/digest/at-your-side

そこには、お客様の視点に立ち、問題解決や新たな価値を提供し続ける姿勢が表れています。どの取り組みがSDGsに当てはまるのか明確に示され、サスティナビリティへの意識がうかがえます。

ビジョン策定のリーダーとなった社長の佐々木一郎氏は、自身の原点について次のように語っています。

「当時の自分の身の回りを見回してみると、水道があったり電気があったり病気になるとお医者さんがいて薬があったりとか、大変便利な世の中だったんですね。だからこの便利さの中で生きるとしたら自分も少しでも今の世の中を前進させて、少しでもいいので便利な世の中をつくることに寄与する。これが自分の使命だろうと思ったわけです。」

経営者インタビュー動画-ブラザー工業株式会社 代表取締役社長 佐々木一郎|社長名鑑

https://shachomeikan.jp/presidents/detail/10062955

明るくポジティブな先見性が伝わってくる表現です。

長期的なビジョンの策定プロセスに込められた思いもありました。

「この“At your side2030”の1つ前の“グローバルビジョン21”。2002年にこれをつくる活動に私自身も参加させていただきました。こういう活動を行なうことによって、このブラザーという会社全体がどういうビジネスをやっているのか、何を強みとしているのか、今後どうしていかなければいけないのか、そういうことを深く考える経験を若いうちにすることができるわけです。このような経験を次の世代にやらせてあげたいという思いがとても強くて、40代を中心とする次のブラザーを引っ張っていく人たちに集まってもらって、この新しいビジョンをつくってもらいました。」

 

Brotherの人材育成

先を見据えて人を育てるには、今具体的にどうすべきか考え実行する姿勢が見て取れます。これからの人材育成について、具体的な取り組みを紹介します。生産・販売・サービス・開発拠点が40以上の国と地域に広がっていることが、ブラザー工業の特徴です。

ブラザーグループ新ビジョン

https://download.brother.com/pub/jp/corporate/vision/atyourside2030-p.pdf

現地での雇用促進にも力を入れていて、管理職には国籍を問わず適任者を登用する方針です。実際に昇進する道筋を見せることで、従業員の定着率を上げる効果があります。従業員エンゲージメントを高めることにもつながり、長期的に持続可能な企業活動を支えています。

多様性の尊重|社会(S)|サステナビリティ|ブラザー

https://global.brother/ja/sustainability/social/diversified

「ブラザーグループ グローバル憲章」という形で基本方針と行動規範を共有しており、28言語に翻訳されています。

ブラザーグループ グローバル憲章|企業情報|ブラザー

https://global.brother/ja/corporate/principle

多様な人材を企業の一員として育て、社会に貢献する原動力です。

 

ブラザー工業の人事データ活用

ブラザー工業では、人事におけるデータ活用が行われています。前述した事業特性から、リーダーを育てるには幅広い業務経験が欠かせません。そこで「次世代幹部育成のスピードアップ」を目標に掲げ、『人財開発グランドデザイン』を策定しました。

 

ブラザー工業×KBSからの提言。リーダーの成長の7割は経験から。人材活躍度最大化のカギは、部門間連携のための人材開発グランドデザインと経験設計 | d's JOURNAL(dsj)- 採用で組織をデザインする | セミナーレポート

https://www.dodadsj.com/content/210125_seminar_peopleanalytics/

各部門が連携して目標達成に取り組むために、議論に必要なデータが見直されました。特筆すべき点は、人材レビューの枠組みを「メンバーシップ型」から「ジョブ型」に変更したことです。従来のメンバーシップ型企業レビューでは、縦軸に職種等級、横軸に年齢をとります。このデータだけでは、パフォーマンスの程度や潜在的な能力を議論することはできません。年功序列型の人事を打ち破るために、新しい型が必要でした。

そこで、縦軸にパフォーマンス、横軸にポテンシャルをとったジョブ型企業レビューが採用されています。さらにタレントマネジメントシステムを導入し、ビッグデータと個別分析の両方を判断材料にできる土壌が整いました。その結果、「現時点ではパフォーマンスは高くないが他部門にローテーションすればハイパフォーマーになる可能性がある」という提案や部門間の合意形成がスムーズになっています。働く人ひとりひとりが納得して、配置換えや異動に臨むことも可能です。現状把握と将来のキャリアパスを幅広く共有しながら、人を育てる手法が見てとれます。