【地域活性】地域住民と共に取組む、サステナブルな街づくり

 

他の国には類をみない超高齢化者社会に突入している日本において、多くの課題が山積しているのは言うまでもありません。

・人口減少・労働力人の減少・都市部への一極集中・介護福祉の不足、上げだすときりがありません。

次々に政策が出されているにも関わらず、一向に回復の兆しが見えず、解決している事案よりも、問題となっている事案の方が多いのではないかと思うくらいです。

「日本創生会議」「ストップ少子化・地方元気戦略」2014年5月に提言された目標は、

(1)国民 の 『 希望出生率 』 を 実現 する

(2)地方から大都市へ若者が流出する『人の流れ』を 変える。『東京一極集中』に歯止めをかける

(3)「若者に魅力のある地域拠点都市」を中核とした「新た な集積構造」の構築

(4)2020 年の「東京五輪」を視野に置いた取組み

でしたが、何がどこまで、進み、どのような改善が必要なのか、真摯な振り返りがなされず、なし崩し的に進む、社会環境にやるせなさが募ります。

今回は、国や行政が主導する地域づくり、街づくりとは別の視点で、地域が元気になる施策についてまとめていきます。

多くの地域活性化を目指し活動している皆さんのお役に立てていただけたら、嬉しいです。

 

多様な価値観に触れることが地域活性化には大切

結論から申し上げますと、地域活性化作りに大切な要素は、「多様な価値観に触れることが地域活性化には大切」である、ということです。

みなさんの地域を元気に活気づけていくためには、まず、多様な価値観の流入を心掛けてください。それが、あなたの地域の活力に繋がります。

その活動がひいては定量的な経済活動の面にも好影響を与えていくことでしょう。

しかし、現状の地域活性化の策としては、なかなかこのような定義に結びつくものは少ないのが実状です。

そこで、地域活性化の行う際の現状の問題点などをみていきたいと思います。

 

地域活性化を阻害する3つの罠

地域活性化を阻害する罠1:閉鎖的なコミュニティではイノベーションは起きづらい

1980年代、アメリカから始まった性別、人種などの「違い」を理解し合い、多様性を受け入れようとする「ダイバーシティ」が始まりました。

これが、企業の人事政策にも展開されるようになりましたが、日本においては女性の管理職比率の話などが話題になることはありますが、まだまだ女性の活躍の場は、限られたものになっています。

日本の江戸幕府時代の藩の括りで仲が悪かったことなどを引き合いに、今でも隣接する県といちいち比較、競争しあったりすることも多々あります。

そして、今でも外部の方を受け入れない文化が多いように感じます。

ダイバーシティを進めるうえでも、グローバルコミュニケーション在り方は様々なことに示唆を与えてくれます。

グローバルコミュニケーションのステップでは、次のようなステップがあると示してくれています。

ステップ1:多様な価値観があることを認識する

ステップ2:自分の主観性と先入観を把握する

ステップ3:異質性の「良さ」と潜在性を見出すスキルの向上

です。

ステップ1:多様な価値観があることを認識する

色々な価値観があるということを、まずは認識することから始めます。

日本は島国で、もともと多言語を操ることが苦手な国民性です。

そのことからも、異文化とコミュニケーションをとりながら、自分たちとは異なる価値観を知る機会が圧倒的に少ないのが実状です。

まずは国の文化、組織の文化、職業の文化などの違いによる、多様な価値観があることを知ることから始めましょう。

※参考

G.Hofstedeが、国の文化的次元の違いをデータ分析してくれています。

すべての個人に対応したものではないとしても、国という単位で傾向を分析してくれていますので、非常に分かりやすくまとめてくれています。

https://www.hofstede-insights.com/country-comparison/

日本人を表している特徴として、他国と比較し「不確実性回避」が非常に高いスコアです。

「不確実性回避」の評価を参考まで

92歳の日本は、地球上で最も不確実性の高い国の一つです。これは、地震、津波(国際的に使われる日本語の単語)、台風、火山噴火などの自然災害によって、日本が常に脅かされていることに起因しています。このような状況下で、日本人はどんな不確実な状況にも備えることを学びました。これは、緊急時の計画や突然の自然災害に対する予防措置だけでなく、社会の他のすべての側面にも当てはまります。日本では、あなたがすることはすべて、最大限の予測可能性のために規定されていると言えるでしょう。ゆりかごから墓場まで、人生は高度に儀式化されており、多くの儀式があります。例えば、学年の開会式と閉会式は、全国どこでもほぼ同じように行われています。結婚式、葬儀、その他の重要な社交行事では、人々が何を着るか、どのように振る舞うべきかがエチケットブックで非常に詳細に規定されています。学校の先生や公務員は、物事を優先せずに行うことに消極的です。日本の企業では、実現可能性調査に多くの時間と労力が費やされており、プロジェクトを開始する前にすべてのリスク要因を解決する必要があります。マネージャーは、決定を下す前に、すべての詳細な事実と数字を求めます。不確実性回避に対するこの高いニーズは、日本で変化を実現するのが非常に難しい理由の1つです。

 

ステップ2:自分の主観性と先入観を把握する

凝り固まってしまっている、自分の偏見などをしっかりと気づくということです。

「今の若い者は、、、、」「〇国の方はマナーが悪い」等々。

後者は事実かもしれませんが、まだ見てもいないのに、噂などから持ってしまう先入観などを認識します。

あれが悪い、これが悪いと自分の価値観で測ってしまいますが、私たちの価値観でネガティブな行動も海外の方にとっては良かれと思っての行動であるときがあるかもしれません。

自分たちの価値観を客観視してみましょう。

 

ステップ3:異質性の「良さ」と潜在性を見出すスキルの向上

では実際にどのように海外の方々と接していこうか!そのためにはどのようなことが必要かな?という次元に至ります。

異質な価値観を融合しながら、新しいものを生み出す、そういったことからイノベーションが起きていきます!

地域づくりにおいて、まずグローバルコミュニケーションの視点を持ち、新しい価値に積極的に触れていくことを目指していただきたい。

ヒント💡

企業においてもダイバーシティ推進する中で、多様性の認知というステージに立つことはできたが、多様性の相乗効果を生み出すというステージには立てていないということが、10年以上前から課題として掲げられています。異質なものに触れるということに人は、不安や保全という視点から排除しにかかる傾向が強まります。特に日本社会は、同調圧力が非常に強い傾向のある国です。地域づくりにおいて、多様性を認知しながら、それをどのように街づくりの効果的な発展に繋げていくのかが鍵です。よき文化、風習を残しつつも、新しい風が入る街。そのような街には、女性が働きやすい環境もできあがることでしょう。

 

地域活性化を阻害する罠2:地域づくり定量的な目標から逃れられない

地域づくりをトップダウン式の構想の枠にとどまっていないかどうか、問いただしてみましょう。

地域活性化は「地域住民のため」と口にしながらも、定量的な目標達成のための施策を模索し続けて、目的と手段が逆転しまっていないでしょうか。

実際、弊社の取組においても、インバウンド事業の外国人宿泊者数の増加や、ウェブサイトへの流入数の増加を目指した活動の要望が届きます。

筆者から、地域の方々に素朴な疑問として、質問をさせて頂きます。

筆者:「インバウンド、インバウンドとおっしゃいますが、日本人観光客の増加でもいいのではないですか?」

すると、地域の方々は、意外な質問が来たと、ぎょっとします。

地域の方:「いや~、インバウンド事業の推進というのがありまして、、、、」

まだまだ、日本人観光客に対しての観光体制づくりが不整備である中、インバウンド需要に対応するのは何分ハードルが高すぎます。

そもそも、地域住民やその他の協力組織が、観光客を相手にビジネスを始めるという機運も高まってもいなかったりします。

その状況の中、

  • SNSでの情報を発信をしたので、具体的な成果を出したい
  • 外国人の民泊受け入れを進めたい、○○まで達成したい

としてみても、現実的な施策には至りません。

どのようなことも原理原則に立ち返る必要がありますが、地域づくりにおいて

➀何のために

②どのような目標を掲げて活動をするのか

これを共有できる状態にすることが求められるでしょう。

これがなかなかまとまらずに、スタートが切れない苦悩をたくさん見てきています。

 

地域活性化を阻害する罠3:単年度事業では長期的な地域活性化策には限界がある

多くの地域で行われている単年度としての事業の取り組みです。

地域活性化を目的とした事業は、国の助成事業に依存していることが多々見受けられますが、大抵の事業は単年度の活動になりがちです。一部、複数年の事業もありますが。

筆者は、この単年度事業の在り方も、地域活性化のリスクであると考えています。

詳細は今後の記事で話していきたいと思いますが、事業を行う上で、資本の投資が大きくものをいうのは皆さん、ご存知の通りです。

これは企業経営に関わっているかたであれば、誰でもピンとくることです。

地域活性化に、イノベーション・技術革新は絶対に必要なことですが、さらなる投資が盛り上がるほどの前進は期待できず、どっちつかずの施策にとどまってしまう。

結果、投資が不足し、地域域経済は不況に陥いる。このような悪循環に迷い込んでいます。

地域づくりのリーダー、担当者の皆様には、ぜひこの投資が生み出す、発展を視野に入れた活動を願います。

投資サイクルが循環しなければ、働こうとする気持ちはあるけれど、何かを作ってもなかなか売れない状況を生み出す。結果、社会全体としては豊かであるが、地域社会としては厳しい状況に。

短期的な視野は、中長期的な成果にもネガティブな影響を及ぼします。

地域社会を形成するには、経済活動は重要な要素になりますので、定量的成果を目標とすることは分かります。

そこで、今できる資源、人、モノ、金、情報を駆使して、何とか目標とすると成果獲得を成功させていこうと取り組みますが、一時の成果を得られたとしても、継続的な成果には繋がらないことが目に見えています。

一時的な人口対策など小手先の施策ではなく、本質的な地域づくりを行う覚悟をどれだけもてるか、問われているのです。

地域社会を創るのは、短期的な視点だけではなく、中長期的な視点での投資活動が重要なのです。

アインシュタインは、「問題を作り出した時と同じ思考では、その問題を解決できない」と見抜いています。

資本経済に偏重した価値観で地域づくりを捉えるのではなく、文化、自然、経済のバランスをとった、持続可能な視点を持って、社会を再構築していくくらいの気概をもって取り組んでいくべき時を迎えているのでしょう。

もし、それでも短期的な経済性獲得が優先事項であると思われる場合は、「トップ方針に対してのベストの答えは?」という思考ではなく、「地域住民にとってのベストは?」という思考で疑問に対する答えを導きだしてみてはいかがでしょうか。

答え、思いを持っているのは、AIでもGoogleでも、ビックデータでもありません。

地域に住んでいる住民の皆さんです。

 

「生き方の質」を上げるもの

私たちは、地域活性化を以下のように定義しています。

地域活性化とは、地域に住んでいる方々の「生き方の質」を上げること

「生き方の質」は、客観的な側面と、主観的な側面が考えられます。客観的側面は、資本主義経済の中において富を獲得し、生活の質を上げること。一方、主観的な評価としては、感情に関わる概念であること。どのくらい幸せか、どのくらい欲求を実現できたか。この2つの側面が両輪でかみ合ってこその地域活性化です。

今、私たちが今何とかまだある自然資源、文化継承、進化を考えずに活動続けることは、有限な資源は必ず行き詰りますし、家族としての営みもバラバラになっていくでしょう。

それぞれの地域で、「生き方の質」を上げる活動は、様々行われていると思いますが、多様な価値観に触れることによる、地域活性化のステップをご紹介申し上げます。

 

地域づくりを行う3つのステップ

ステップ1:若手との交流機会を設定する。

地域活性化と言われても、何を始めればいいか分からない。

確かにそんなことを思う方も多いことでしょう。

そんな時に、ぜひ、行って欲しいのが、地域の住民の方々と、若手の交流の機会を設けるということから始めていただきたいです。

例えば

・地域の食事を楽しむ食事会

・アイディア出しのハッカソン

・スポーツなどの簡単な娯楽イベント

等々、どんな機会でも結構です。

ここで大切なのが、地域住民と若手の物理的なコミュニケーション機会を持つということです。

年配の方は、自分たちが培ってきた財産を伝えたいという欲求がありますし、若手はもともと知らないことに対して知りたいという欲求が必ずあります。

この交流の機会を設けることが、地域の方々がいろいろとおっくうになり始めていることから、なにか少しやってみようかとなる、第一のステップとなるのです。

ステップ2:フィールドワークを行う

次に、実際にその地域で、地域探索を若手と一緒に行いましょう。

どうしても地域の方々は、素晴らしい自然を前にしても「いつも見慣れた風景だ」。

情緒あふれる神社などをみても「いつも見てるからね~」と、みなさん口をそろえておっしゃいます。

他の地域からくる方にとっては特別な風景も、地域の方にとっては当たり前。

地域の方々と、できれば、他県からきた若者たち一緒に歴史ある「コト」価値ある「モノ」を探して歩きましょう。

実際に体験して、得られた情報は地域の大きな財産になるのです。

このフィールドワークには、写真や動画に納めながら行うことも大切ですが、地域の「内側」にアプローチすることを行いましょう。

その手法は、エスノグラフィーの手法を用いながら行っていきます。

もともと研修手法などに利用されているものですが、筆者が地域の実態を把握する時は、エスノグラフィーの視点で行っています。

やり方は様々ですが

  • 個人や集団の経験を分析
  • 現在進んでいる活動を分析
  • 残されている資料を分析 等々

このフィールドワークを行うことによって、得られる成果は、地域の方が暮らしの中で、大切にしてきた歴史的な繋がりを拾い上げることができるということです。

若手の喜ぶ声や、驚嘆から、地域の方々も自然と地域の特徴を再認識できるようになっていくのです。

ステップ3:ビジュアルを伴った発表会を行う

 そして、総括として、ビジュアル(例えば、ドローンで撮影した普段見ることがない角度からの自分たちの地域映像や、若手の視点で見た地域の魅力発表)で、認識することを行いましょう。

■こちらは廃校施設ですが、とてもきれいに維持されていました。

廃校跡地の活用は、どちらの地域でもテーマになっていますが、情報を共有するプラットフォームみんなが集まる施設として利用できると利用価値が高まりますね。

どちらの地域でも発表会の設定は必ず行っています。

地域の方々にドローンで撮影した風景映像を見て頂きますが、反応としては、初めは、「あれ、あんまり反応ないな?!?」というくらい、息をのんで見てる感じです。

もう一度、映像を流し始めて、初めて「お、あれ、○○のお宅じゃない!!」「この海の見え方は、わしら見とらんな~」など、驚きの声が始まります。

やはり、自分たち生まれ育った地域に愛着はあり、慣れ親しんだ景観を他の地域から来た人に喜んでもらえるのは、それは嬉しいことです。

 

まとめ:「生活の質」を上げる取り組みを!

 私たちは、地域活性化を難しいものにとらえすぎているのかもしれません。

インバウンド事業、農泊推進事業と今までに行ったことがないことを、取り組まなくてはいけない。たしかに、何をどう手を付けていけばいいのか、分からないとなってしまうのも、致し方ありません。

それは行政の方々も、地域住民の方々も一緒のことです。

「ま、とりあえず、やってみようか!」とスタートをきるためにも、多様な価値観に触れる機会を多く作ることから始めていきましょう。

もともと、地域コミュニティは、いろいろあれども話し合いによって、お互い理解しあいながら、合議制で物事を進めてきました。特に西日本では、その色合いが強いです。

歴史的にネガティブな変化は、積み重ねた年月分、改善していくには同様の年月を必要とするはずです。

昔に戻るのではなくて、新しい社会を作り上げていくためには。

次世代の若者が夢ある地域社会を創るためのスタートを切りましょう。

 

観光政策について

感情的な側面ではなくて、実務的なことを知りたいという方もいらっしゃるかもしれません。

インバウンド事業を展開していくうえで、地域実態を把握したうえで、以下のようなアドバイスを申し上げていますので、ご参考までに。

 【基本的な考え方】

1.地域として観光で何を実現したいのか、方向性を示せるようにする必要がある。

経済効果をのぞむ観光事業を営んでいくのか、又は、交流人口の増加を目指し公益性を目的とした事業を営むのか、それとは別の目的か、この整理から始める。

2.競争力のある魅力ある観光づくりとはなんなのか、他の地域の成功事例を参考にすることは勿論学習としてはいいが、同様なことを行っても二番煎じにしからならない。

ユニークな地域独自の特徴ある観光コンテンツを練る。

3.上記の整理とパラレルで、観光の永続性についても考えていかなくてはならない。

観光資源である自然、施設、人、文化、伝統があって、はじめて観光が成立することを理解すれば、どのような活動が必要であるか導くことができる。

4.1、2、3の活動を通じて、地域の観光体制づくりの基礎ができ、観光インフラ、観光受入れ人材、組織化されていく。

地域が、観光事業に対して、どのレベルにあるかよって、何を実施していけばよいかが、見えてくる。

5.具体的なインバウンド成果を獲得していくために、明確なターゲティングとそのターゲットに応じた営業戦略が必要である。国、ターゲット年代によって、ターゲットにリーチする最適なチャネルを選択実行継続する。

もし、私共と地域づくり、地域活性化について何か、トライしてみたいというかたは、ぜひお声がけをください。

まずは、じっくりお話をお伺いするところから、はじめていきます!