【コラム】SDGsと人事・人材育成(FANCL編 )-人的資本を軸にした資本の好循環サイクル

 

SDGs and HR/Human Resource Development FANCL version
-virtuous cycle of capital based on human capital

ファンケルが掲げるサステナビリティ

ファンケルは、2018年に「ファンケルグループ サステナブル宣言~未来を希望に~」を策定しました。「未来を希望に」という標語のもと、2021年には第三期中期経営計画として「前進2023」を掲げ、人材育成と人材活用、サステナブルな事業推進と永続的なSDGs貢献を打ち出しています。また、長期ビジョンとして2030年を見据え、SDGsにおける定量目標が設定されました。
ファンケルレポート2021 https://www.fancl.jp/sustainable/data/freport/2021/html5.html#page=9 より

ファンケルといえば、無添加化粧品の販売とブランド化で成功を納めた先駆者としてのイメージが強い企業です。サプリメントでも国内を代表するメーカーのひとつであり、安全や健康を大切にする姿勢が見て取れます。ファンケルでは、どのようにSDGsと人事・人材育成に取り組んでいるのでしょうか。掲げている数値目標は非常に明確です。

・女性管理職比率を2023年度までに50パーセントにする
・障がい者雇用率を2030年度までに5パーセントにする

出典:ダイバーシティ&インクルージョン | ガバナンスについて | サステナビリティ | FANCL ファンケル
https://www.fancl.jp/sustainable/society/workstyle/divercity/index.html

ダイバーシティ

ダイバーシティ&インクルージョン | ガバナンスについて | サステナビリティ | FANCL ファンケル

ファンケルは化粧品会社であり、店舗での販売も行っていることから、女性の従業員が多数います。2020年度現在、女性従業員比率は63.5パーセントと高い数値です。女性の管理職比率となると、46.5パーセントとなっています。ポジションや働き方によっては非正規雇用になりがちな従業員に対して、ファンケルは様々な施策を行っています。雇用区分を見直し、家族の介護や自身の療養で勤務を見直しても正社員のままでいられるアソシエイト正社員もそのひとつです。また、全国の直営店舗で働く契約社員全員をエリア正社員という雇用区分に切り替えています。待遇が良くなり、有期雇用から無期雇用に変わることで、より長いキャリアパスを描けるようになりました。さらに、本社部門と工場部門で働く契約社員とパート社員、直営店舗で働くパート社員を有期雇用から無期雇用に変更する施策をとっています。より弱い立場になりやすい働き方の人たちに対して、段階的に待遇を良くしている様子が伺えます。

インクルージョン

ファンケルでは、障がい者雇用についても早くから取り組んできました。1990年に特例子会社としてファンケルスマイルを設立し、グループ内の様々な業務を請け負っています。同社では、2021年11月から菓子の製造販売を行う「スマイルスイーツファクトリー」をオープンしました。請負業務だけではなく独自の事業を展開することで、既存の従業員がやりがいを持って長く働き、新たな雇用拡大につなげるためです。ファンケルグループ全体で推し進め、2020年度の3.74パーセントから2030年度までに5パーセントの障がい者雇用率を目標にしています。

ここまで見ていくと、目標だけではなく実現するための道筋も公表して丁寧に説明しているのがわかります。データの出し方やホームページの構成もわかりやすく、一目で内容を把握できるような視認性の良さです。以上の内容をまとめたESGデータ集も、簡潔な説明でまとまっています。

ファンケル ESG データ集

https://www.fancl.jp/sustainable/data/esgdata/pdf/esg_databook2020.pdf

情報を見る人への考慮が行き届いていて、好印象です。

人材育成

ファンケルにおける人材育成は、ファンケル大学という社内組織が一元化して行っています。外部に対する各種研修プログラムも用意されており、メイクの基本やシニア応対など、具体的に教わりたくなるラインナップです。社内の従業員向けにはマインド教育からマネジメント・経営論まで幅広く提供しています。研修システムがはっきりしていることで、キャリアパスもイメージしやすくなり、長く働きやすい環境がうかがえます。

タイムリーな情報発信

このようなSDGsへの取り組みを、積極的に外部に発信しています。ファンケルには「FANCL ONLINE」という毎月約320万人が訪れる自社通販サイトがあります。そこには、商品の販売機能だけではなく、FANCL CLIPという自社の取り組みを紹介する記事が掲載されるコーナーがあります。

FANCL CLIP │ 美容と健康の旬な情報をお届け♪

https://www.fancl.co.jp/clip/index.html

そこにはSDGsカテゴリが準備されており、様々な活動が紹介されています。また、ファンケルのYouTubeチャンネルでは、今年から新たにFANCL SDGs NEWSというシリーズが始まりました。

FANCL SDGs NEWS vol.1

知らないところで進んでる?プラスチック削減~あの人気商品に潜むサステナブルとは?

マリオネット風のキャラクターが登場する親しみやすい動画です。

レインボー ファンケル大学へ、行く!!!【三限目「接客を学ぶ、体験する」】

同チャンネルには、お笑い芸人・レインボーのお二人がファンケル大学の講義を体験するシリーズもあります。

「人を大切にする」ファンケルがどのような人材育成を行うのか、楽しく具体的に紹介する動画です。このように、ファンケルでは自社のブランディングと一体でSDGsを進めています。

複数のチャネルで広報を行っていく姿勢は、良いヒントになりそうです。