最低のリスクで最高の教育効果を生む研修プログラム ~withコロナの人材育成施策~

| これからの教育研修はオンライン研修?集合研修?

5月25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言を全面解除されました。

それまで不要不急の外出制限がありましたが、外出やイベントを含めたあらゆる社会経済活動を段階的に緩和する方針を示されましたが、それから日本の感染症対策は新たな局面に入りました。

これに伴い、人事的な施策をどのように今後行っていくのか、大きなテーマとなってまいりました。

弊社においても4月の新入社員研修はオンラインで1か月にわたって研修を行いましたが、これはコロナウィルスという環境変化に強制的にとらなくてはならかなった施策でした。

withコロナの時代に、どのように教育機会を設計、運営をしていったらよいか、悩まれている教育担当者の方は多いのではないでしょうか。

ここで現在急激に進んでいるテレワークの状況を踏まえ、教育にもオンラインツールを活用した研修が増加しています。

実際に、非常に多くなったのが、IT業界から研修業界への参入です。今後さらに、オンラインツールを活用した教育プログラムや、e-ラーニングコンテンツが増えてくることでしょう。

この教育業界革命期において、人事ご担当者に起きているサイクルです(図表1)。

①実際に4月ごろのタイミングでは、研修を中止することの準備も整わず、とりあえずオンラインで研修をやってしまおうと実施された企業は多いのではないでしょうか。そもそも緊急事態。多少の運営のバタつきは多めに見てももらえるだろうしということで、人事担当者側も企業研修運営企業もオンライン研修にチャレンジをしました。

②やってみると。始めた当初は集合型行っていた研修をオンライン研修でやれるはずがないと考えていましたが、意外や意外、「結構オンラインでも研修出来てしまうね」という研修講師の感想や、受講生のアンケート調査からわかってきました。

③人事ご担当者、研修会社、良かった、良かったと振り返りますが、ここで出てくる話題としては、これまでかかっていた会場費などのコストが削減できてしまったね、、、どうしたものかね、、、という問題がでてきます。

④これからの厳しい市況を考えれば少しでもコスト削減することが求められますが、ねん出できた費用を何かの教育にふりわけることができれば、より効果的な教育ができるのではないかと考えるのが、人事の性です。

人事担当者を悩ませる負のサイクル(図1)

 

何を教育できれば、このwithコロナ時代の企業を支える人材を育成できるだろう?!?

現在まさにそんな悩みを抱えている人事担当者は多いのではないでしょうか。

ひとつのヒントとして、教育施策を考えていく際、ファイナンス理論を人材育成に置き換えて考えてみることが分かりやすいです。

まず、ファイナンスは、未来の企業価値の向上を目指したマネジメントです。アカウンティング(会計)とファイナンス(財務)を混合される方もいらっしゃいますが、ファイナンスは財務的な意思決定を突き詰めているものです。

アカウンティングの目的は、過去と現在から企業の現状を把握する。

ファイナンスの目的は、未来に向けた企業価値の向上です。

経営層、管理職層は、ファイナンス理論について、未来への投資であることは至極当然のこととして捉えています。

人材育成も、未来の企業価値の向上を目指したマネジメントであることに変わりはありません

 

withコロナ時代はビジネスの不確実性に対応できる人材育成が重要である

未来の企業価値の向上を目指したマネジメントは、リスクの区別を行えることが重要になってきます。

ある程度、統計的、先験的な情報から起こることを推察できるのがリスク、一方、推定・判断の範疇を脱せないのが不確実性です。

問い:どんな状態が起こりうるのか?

①わかっている

②ある程度わかる

③わからない

問い:どんな頻度で起こるのか?

①先験的確率

②統計的確率

③推定・判断

という整理から区別することができます。

下の図を参考にしてみてください。

リスクと不確実性をビジネスに置き換えて考えてみましょう。

工業化社会とポスト工業化社会(withコロナ)のビジネスの違いについて、捉えることができます。

工業化社会の時代は、ある程度、先験的確率でビジネスの成功率が図れていました。

これは理論的に実証されているフレームワークや、先人の経験に基づいてビジネスを展開していくことによって、経済成長することができていたということです。

ある意味、上司が「俺の背中を見て仕事しろ」も通用していた時代です。

テレワークが進むと、物理的にも背中は見せずらくなりますね、、、

 

一方、このポスト工業化社会(withコロナ時代)においては、先験的確率によるビジネス展開が非常に難しく、推定や判断を多く伴う、ビジネスの不確実性が非常に高まりました。

これは実感値としても皆さん感じていることでしょう。

以前は、10件提案すれば、1つものになっていたものが、ポスト工業化社会では100件提案して1件の受注できれば御の字の時代です。

過去の成功体験を積み重ねることによる努力によって成果を獲得できていた時代から大きな変化です。

 

ここで、ひとつ教育への大きなヒントは、これまでの教育プログラムは、ビジネスの先験的確率を高める教育プログラムを組むことが、企業にとっての求める人材像の育成につながっていました。これが、これまでの教育施策のひとつの正解でした。

しかし、このポスト工業化社会(withコロナ時代)は、先験的確率のビジネスから、不確実性に対するビジネスで成果を獲得できる人材教育が必要になってきたということです。

 

| 教育を「ローリスク・ハイリターン」で実行する

教育施策も、大きな変革期を迎えたという認識に立つ必要があるでしょう。

さて、人事ご担当者が求めるのは、行った教育施策で企業が「求める人材像」に行動変容を遂げることができるのかです。

考えるのは、実施した教育施策が、期待する効果を生み出すことができなかった、というリスクをできるだけ少なくしたい。

そんな悩みを抱えますが、そんなうまい話はあるのでしょうか。

 

ファイナンスの世界にも、リスクだけを下げる錬金術はないのか・・・?という夢のような話がありますが、その「リスクだけを小さくする方法」を発見した方がいます。

 

「ローリスク・ハイリターンの夢」を実現したHarry Markowitz

1990
Nobel Prize in Economic Sciences

“for pioneering work in the theory of financial economics”

https://www.nobelprize.org/prizes/economic-sciences/1990/summary/

Harry Markowitz
Modern Portfolio Theory

Markowitzが提唱した現代ポートフォリオ理論(MPT:Modern Portfolio Theory) は、分散効果相関効果が働かせることによって、ローリスク・ハイリターンの夢は実現可能という答えを編み出しました。

 

まさに、この夢に理論「ローリスク、ハイリターン」の夢を、withコロナ時代の教育施策に当てはめることはできないか!という問いについて、答えをお伝えしていきましょう!

 

教育も分散効果と相関効果!

「リスク分散」の考え方を表した格言としていろいろな場面で引き合いに出される「タマゴを1つのカゴに盛ってはいけない」を見てきましょう。

このタマゴを1つのカゴに盛ってはいけないという格言から、

  • ①投資家は「複数の資産」を持つことによって、ポートフォリオのリスクを減らすことができる
  • ②分散投資することで、より確実に期待収益を得られる

という第一の発見がなされました。

 

教育施策にこの分散投資の理論を当てはめて考えていきましょう。

ひとつのカゴを研修会社として捉えてみましょう。

みなさんの会社の教育研修は、毎年同じ教育研修会社で実施されていませんでしょうか。

一つの研修会社で教育施策を行っているということは、分散効果を高めることができずに、期待する効果を生み出すためのリスクを高めていることになるかもしれません。

カゴを研修会社として例にしてみましたが、これは研修手法、コンテンツなどに当てはめてみてもいいでしょう。

まずは、教育施策の分散効果を働かせるを第一のポイントとして行ってみましょう。

 

次に、相関効果について見ていきましょう。

Markowitzは分散投資によってリスクを軽減するには、単に複数の投資対象を持つだけでなく、それぞれの資産の“相関効果”も念頭に置く必要がある、凸凹コンビがリスクを減らすということも発見をしました。

お互いに反対の動きをする負の相関を持つ銘柄を組み合わせることでリスクの軽減効果を高めることができるということです。

 

教育にどんな相関効果があるか考えていきますと、収束的思考能力拡散的思考能力(創造性)を分けて教育することが求めれていくでしょう。

収束的思考能力は、IQテストなどで測定できる知性です。

これは、これまで日本企業においても比較的、強化してきた教育領域です。合理性、効率性を求めた収束的思考能力は、日本の企業の現場では活発に発揮されてきました。合理性や効率性は、論理的思考を行うことや無駄の排除による生産性の向上です。

一方、拡散的思考能力は、創造性規定要因などの尺度の難しさや直接的な研修成果に結び付けづらいことから、日本企業の現場ではあまり強化されてきていない領域です。創造性は、新奇で有用な発想を生み出すことです。

上記にも記していますが、これまで日本は、収束的思考能力を特化して教育を強化してきた一方、拡散的思考能力の開発については、見落としがちでした。

教育の相関効果を生み出すためには、収束的思考能力と拡散的思考能力を組み合わせた教育が必要でしょう。

 

| まとめ(教育施策の「ローリスク・ハイリターン」の答え)

不確実性に対するビジネスに対して成果を上げることができる人材を育成するために分散効果と相関効果を働かせた教育プログラムを実施する!

withコロナ時代の教育施策は、分散効果と相関効果を掛け合わした教育施策を体系的に実施できる企業が、不確実性に対するビジネスにおいて成果を上げていくことができる人材育成を行えていける会社になるでしょう。

人事ご担当者の日常業務が多忙を極める中、まるっとひとつの会社ですべてをまかなってくれる会社にすべてお願いしてしまうということがあるということもわかります。

これからwithコロナ時代、大きなビジネスの変革期です。

その変革期を、力強く事業継続していける人材の育成をしていきましょう。

下記に、教育研修を分散効果と相関効果を高めるチェックポイントを記します。

みなさんの会社の夢の教育プログラムを構築してください!

 

チェックポイント

どちらかに偏っていないか?

分散効果

1.同様のプログラムを行うにしても、研修会社を振り分ける

①浅く、広くプログラムをカバーしている会社

②オンライン教育に特化している会社

③専門分野(技術、マナーなど)に特化している会社

2.研修の実施方法を振り分ける

①集合研修(オフライン)

②集合研修(オンライン)

③e-ラーニング

④フィールドワーク

相関効果3.収束的思考能力と拡散的思考能力(創造性)の能力開発を組み合わせる

①階層別

②テーマ

 

当社は、拡散的思考能力(創造力)の能力開発するイノベーション人材育成プログラムを開発しています。

これまで、収束的思考能力の強化を行ってきたが、拡散的思考能力(創造力)についての育成には、取組めてこなかったという企業様は、ぜひ一度、お問合せください。

どんなプログラムが、拡散的思考能力(創造力)の強化につながるか、ご提案します!