【お客様の声】地域と共に取組む探究プログラム_越境経験によるDX×SX人材育成_サントリー食品インターナショナル労働組合様
サントリー食品インターナショナル労働組合 書記長 川本さん
Q1.地域で体験型企業研修を実施しようと思われた最初の理由はなんだったのでしょうか?
社内の企業研修は、どうしても自分のスキルを高める研修が多いと思います。地域は違ったんですが、ご縁があり宮城県亘理町での同様な研修に私自身が参加させてもらいました。「自分自身は何を目指して、何を実現したくて生きているのか?」という自分自身を見つめ直す非常に大切な時間となり、その体験がきっかけです。地域で様々な社会課題に直面をしている方のお話だったり、またそれを支える方々の志を聞いた時に、今の自分の人生の多くの部分が仕事に費やしていることに気づきました。月々の予算がどうとかということももちろん重要ですが、大きく自分のありたい姿を描いてそのために自分は日々何をするのかということを考えるこの機会が、私の中ではすごく衝撃的なものでした。そのため、この機会をもっとサントリー食品インターナショナルのメンバーにも知って欲しかったことがきっかけです。
Q2.目の前の仕事に常に人生を奪い尽くされる訳ではなく俯瞰して人生を考える機会が地域の研修であったということですか?
そうですね。地域の人たちは、その地域で、且つその地域の人たちに「何をしてあげたいか」だったり、それをすることで「自分がどうなるのか」をすごく考え考動をされていたなと感じました。普通の社員であると、月の予算をクリアして、「いい成績を残した」「いい給料をもらった」「やった」で終わってしまうことも多いかと感じています。そう思った時に私はこの日々の考え方のみならば少し寂しいなと感じたんです。そう感じた時に、自分自身もこのような経験を積み上げ、「気づき」を与えられる側になれたらいいなと思いました。この経験を通し、少しのきっかけで自分の人生が豊かになるといいなと思い、私はこの研修を進めてきました。
Q3.地域での体験型企業研修をすでにいくつか実施されていらっしゃる中で、参加者の社員の方にどんなことに気づいて欲しいなどありますか?
「何事も全てのことを自分ゴトとして捉えて欲しい」なと考えています。お伺いするその地域の人の立場にならないと感じないこと・気づかないことはいっぱいあると思っています。参加者がその市民になることで当事者意識が芽生え、常に話を聞く上で「自分だったらどういう行動をするんだろう」と考えることで気づきが生まれると思うんです。「私だったらこうしているかも・・でもこの人はこうしたんだよね。そのギャップはなんだろう?」というところに自分と違う価値観を感じ、そのプロセスを経ることで初めて気づきとなり、今までの自分の考えに新たな考えを加えられる。そういう経験を繰り返して、どんどん視座高く視野の広い人間になっていけるのかなと私は考えます。
Q4.今まで触れたことのないような価値観は、当事者意識を持つことで新たな価値観を自分に取り入れ新たな視野の広がりを参加者に得てもらえる研修になるということですしょうか?
そうですね。それは本当に強く思います。どうしても人って自分の考え方が正しいと思うんですよね。その時にちょっと自分と違う意見が出てきた時に、多くの人が無意識に「うっ」と構えたり、排除しようとしてしまったりすると思っています。そうではなく、なぜこのギャップが生まれるんだろうと考えることが成長になると考えます。それは私自身が経験できたので感じることであったり意識するのですが、そのギャップがなぜ発生したのかを考えるきっかけを提供できる人になりたいですね。それをみんなとディスカッションし、自分はこう思ったけどこの人はこう思ったんだという、三者三様の気づきをどんどん自分に取り入れていくことが成長に繋がると思っています。
Q5.参加者の方の地域で行う体験型研修の満足度はどんなところにありますか?
一般的な研修は〇〇センター等の部屋の中で実施すると思います。この研修は外でやるということ自体が日常では考えられない研修のスタイルだと思います。「他の地域」には、普段の生活では関わることがないおじさんおばさん、おじいさんおばあさん、また、歳は近いが、全く立場が違う社長。などいろんな方がいて、サラリーマンとしての自分とは異なる人たちがたくさんそこに存在します。参加者にとっては、同じ組織内であっても、勤務エリアや業種、年齢などのステータスの異なるメンバーが同じ地域へ集まる。その集まった人同士で様々なディスカッションをすることに加え、全く価値感が違う地域の方々とのディスカッションが、さらに多くの自分とのギャップと気づきを生み出します。対話の当事者ではなくても、意見交換の内容を聞くだけでもそこに価値があり、そこが一番満足度の大きなところだ私は感じています。自分が考えるよりも自分が思うよりもこんな自分があると思うよということを言ってもらえることが「あっ、自分てこういう面があるんだな」と大きな気づきとなり満足度に繋がっていると感じています。
Q6.やはりこのような研修は社内では難しいですか?
う~ん。。。そうですね。。。社内の研修だとテーマや獲得目標が1つあり、それを獲得するために各々考えるというスタイルだと思います。この体験型研修は参加者の変化・気づき・成長がテーマとなるので、同じプログラム内の中で「提供するものは皆さん一緒です。自分自身が何か気づきを得て自分で成長してください」としか言いません。社内研修のように明確なゴールがなく、各々の中での変化こそがゴールであるということは社内の研修で取り扱うのは難しいかもしれませんよね。
Q7.変化する点について「人間力」を身につけるということを川本さんはおっしゃっていると思うのですが・・?
社内での研修は「仕事力」。そしてこの地域で学ぶ研修は「人間力」を伸ばす研修と私は整理しています。仕事力は縦軸として考えていて、仕事力を伸ばす社内研修はスキルを伸ばしていく研修だと捉えます。そして地域で学ぶ研修は人間力として横軸と捉えていて、社内研修として縦軸だけ伸ばすだけではなく、この横軸=土台をしっかり広げる研修を加えることで、縦(スキル)を伸ばす研修の効果をより最大化できると参加者に伝えています。
Q8.変化をしたいと想いのある意識の高い方を研修に参加していただくためにどうしていますか?
私は、以前参加してもらったメンバーをアンバサダー的な存在として、職場で実施報告をしてもらっています。経験者の口から直接この機会の意義や価値を伝えていただくことを狙いとしています。今後、全国各地の支社の方にこの研修を体験してもらい少しでも多くの社員の方にご参加いただけるよう取り組みをしていこうと今まさに動いていますね。
Q9.社外で研修することの意味を教えてください?
2つあります。それは「楽しさ」と「感謝」を社外研修では得られるということです。
「あえて外に出る」ということで、まずは日常を忘れられます。自分たちで歩いて動いて体験していくことは社内研修よりも格段に楽しく、何歳になっても楽しいことだと思うんです。また、地域に行き、社会課題を目の当たりにすることで、今の日常の日々に「感謝」も生まれます。日常、もちろん辛いこともあると思うのですが、人によっては仕事があるということ自体に感謝が生まれるのもこの研修の価値だと感じています。日頃上司から厳しいことを言われていても、違う価値観や状況を伺い見ることで、あの上司の言葉はこういう意味もあったのかな?など別の視点で今の自分を見つめ直すことができたりもすると思うんですよね。そのような意味でも、楽しみながらも日々の日常を振り返り、感謝もできる体験は社外研修でないと中々得られないと思っています。
ただ、単に外に出れば良いというわけではなく、誰にどの順番で講義してもらうか等の行程や事前のマインドセットには非常にこだわっています。ただ「楽しい」だけでは終わらない、目的は「見学」ではないということを強く伝えることを意識しています。また自分たちは「なぜこの場にきたのか」の目的を共有し合う時間も大切にしています。目的を聞くと「今の自分を変えたくてきています」というような声もお伺いすることも多く、研修後に参加社員の変化を感じることも多々あります。その瞬間に立ち会うことで、私自身もこの社外体験型企業研修の意味をとても強く認識しますね。
Q10.体験型にする意味はありますか?
あると思っています。非日常に身を置くことで感性が研ぎ澄まされ、普段なら気づかないことも気づいたり感じたりします。体験型にする「楽しさ」の中に「気づき」を得られる仕掛けを組み込んでいるので、参加者は楽しみながら、いつの間にか成長のきっかけに触れています。
初日には地元の課題を目の当たりにするプランにしているのですが、特に震災の現場の体験型企業研修では、シリアスな厳しさを目の当たりにするので、2日目の体験時に震災という厳しい現実に直面したおばあちゃんたちが、笑顔に溢れて前向きに生活をしている姿を垣間見させてもらっています。そのおばあちゃんたちと一緒に料理をしたり社会貢献活動等の楽しい経験を積むことで、2日間での大きなギャップを体験します。厳しいことを体験しても楽しく笑顔で生きている強さや、周囲や後世に何かを残そうとする高いモチベーション・志を持つ方々に触れるこの研修から、参加者の変化があるなとも感じています。例えば、帰りの新幹線の中で、参加者が「今の業務ってきついよな・・でも今回のことを受けて、こんな愚痴が言えること自体が幸せだと思ったよ」とつぶやいている言葉を聞いて、日々の生活への感謝をはじめとした体験型の研修だからこその人間の変化を実感します。
Q11.地域で学ぶproject・そして弊社川九と一緒に取り組んでくださる理由を教えてください。
川九さんと出会った時のことを思い出しますね。(笑)地域で行う人間力を高めるこの研修への川九さんの本気度を熱く感じたことが最初の川九さんへの印象です。この体験型の研修はこれからの日本の人材育成研修として必要だという想いを川九さんは当時から強く思っていらっしゃったなと感じています。だからこそ、今の活動を川九さんとこれからも継続して広めていきたいと思っていますね。
Q12.最後にこれからの川本さんの目標を教えてください。
各支部でこの五感塾をどんどん自発的に実行してもらえるようにしていきたいですね。
また、個人でも、部署毎でも、地域に自ら赴き、色々と感じてもらい、その踏み出した一歩が継続されていく状況が生まれるように支援を続けていきたいと感じています。これはもちろん、日々の自身の仕事を見つめ直す機会をもつ「社員の成長」という観点もあるのですが、もう1つは、自らが会社の看板を背負い、自分の学びを通して各地域に自社のファンづくりにもなっているということも感じてもらえたらなという思いもあります。
地域と会社が双方いるから、社員も会社も地域も発展していく。そのような形が作り出せていけたら私はとても幸せですね。